外務省 警備員 過労死と警備会社の長時間労働当たり前の風潮

 渋谷労働基準監督署は、ライジングサンセキュリティーサービス外務省警備の警備員について長時間労働による過労死と認定しました。

 この問題、この案件に限らず警備業界全体の共通問題です。
 既に多く人がご存知の警備員の過労死事案。

 亡くなられて同志のご冥福を心よりお祈りいたします。


 警備員の長時間労働問題については、

 大手でも機械警備勤務員を中心に長時間労働が常態化しており、警備業界全体の問題です。

 また、中小でも施設警備等で勤務時間の長い夜勤(夜警)を中心に長時間労働が横行しています。

 これらの警備員については、

 雇い入れ字より長時間労働を行うことが前提の給与ベース(低待遇)のため、

 残業等の長時間労働がなければ生計が成り立たない者が多くいます。

 また、長時間労働が必要である低待遇故に交代要員等の満足な雇用が出来ず、

 その結果、代替者いないために勤務をせざる負えないケースも多く存在します。

 このため、

 望む望まぬに関わらず長時間労働ありきという風潮、

 更には警備会社側に長時間労働に関するリスクについての認識が低い。という大きな問題があります。


 過労死と長時間労働の問題については、

 実際の問題が起きて顕在化されるまでなかなか取り上げられません。

 しかしながら、厚生労働省が平成13年に示した認定要件を見るその関係は密接なものです。

 認定基準の

 「おおむね45時間を超えて時間外労働時間が長くなるほど、業務と発症との関連性が徐々に強まると評価できる」

 とは、1ヵ月の労働時間が約220時間程度からがこれに該当します。

 恒常的に長時間労働である場合、その認識をあらためることが必要です。


 また、過労死により労災認定を受けるということは、

 単に労災扱いなるというだけではありません。


 会社は労働法による安全配慮義務違反があり、

 それを怠った会社(経営者)はその損害賠償を負う可能性があるということです。

 今回の案件もニュースに「遺族代理人弁護士」が出ている事から、

 これから民事訴訟に発展するではないかと思います。


 今回ような事案が二度と発生しないよう、

 また、少しでも多くの警備会社経営者が考えを改める機会となるよう、

 今後の民事訴訟に期待したいと思います。



 なお、労災認定基準は発生した疾病。勤務状況等を総合的に考慮し、審議されます。

 単に長時間労働であったというだけで、労災認定になるものではないことを申し添えておきます。



<以下、「過労死」の労災認定認定要件より抜粋>

「過労死」の労災認定認定要件
  内、長期間の過重業務について

(ア) 疲労の蓄積の考え方
 恒常的な長時間労働等の負荷が長期間にわたって作用した場合には、「疲労の蓄積」が生じ、これが血管病変等をその自然経過を超えて著しく増悪させ、その結果、脳・心臓疾患を発症させることがある。
 このことから、発症との関連性において、業務の過重性を評価するに当たっては、発症時における疲労の蓄積がどの程度であったかという観点から判断することとする。

(イ) 評価期間
 発症前おおむね6か月間

(ウ) 過重負荷の有無の判断
 著しい疲労の蓄積をもたらす特に過重な業務に就労したと認められるか否かについては、業務量、業務内容、作業環境等を考慮し、同僚等にとっても、特に過重な身体的、精神的負荷と認められるか否かという観点から、客観的かつ総合的に判断すること。
 具体的には、労働時間のほか
b 不規則な勤務
c 拘束時間の長い勤務
d 出張の多い業務
e 交替制勤務・深夜勤務
f 作業環境(温度環境・騒音・時差)
g 精神的緊張を伴う業務
 までに示した負荷要因について十分検討すること。
 その際、疲労の蓄積をもたらす最も重要な要因と考えられる労働時間に着目すると、その時間が長いほど、業務の過重性が増すところであり、具体的には、発症日を起点とした1か月単位の連続した期間をみて、
 (1) 発症前1か月間ないし6か月間にわたって、1か月当たりおおむね45時間を超える時間外労働が認められない場合は、業務と発症との関連性が弱いが、おおむね45時間を超えて時間外労働時間が長くなるほど、業務と発症との関連性が徐々に強まると評価できること
 (2) 発症前1か月間におおむね100時間又は発症前2か月間ないし6か月間にわたって、1か月当たりおおむね80時間を超える時間外労働が認められる場合は、業務と発症との関連性が強いと評価できることを踏まえて判断すること。



<以下、ニュース記事より>
2012年 4月 2日 22:02 日本経済新聞
「外務省警備員の過労死を認定 渋谷労基署」

 外務省に警備員として派遣され、昨年3月に病死した男性(当時58)について、渋谷労働基準監督署が、長時間労働による過労死として今年3月に労災認定していたことが2日、分かった。
 遺族代理人弁護士が明らかにした。弁護士によると、官公庁の警備で労災認定されるのは珍しい。

 代理人弁護士によると、男性は2008年に警備会社「ライジングサンセキュリティーサービス」(東京・渋谷)に入社。
 週6日、早朝から夜にかけて勤務することが多く、死亡直前の2カ月間の時間外労働は月平均で81時間を超えていた。

 男性は昨年3月、外務省から帰宅する途中に胸部大動脈瘤(りゅう)破裂を発症し、翌日に死亡した。


参考資料(外部リンク):厚生労働省 平成13年12月12日 公表
脳・心臓疾患の認定基準の改正について
http://www.mhlw.go.jp/houdou/0112/h1212-1.html
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コメント

セントラル警⭕という大手?に務めてますが乗務の仕事にも関わらず39時間労働とかザラにあります。しかもその後に完全な休日があるとは限りません。そもそも残業計算もグレーで休日出勤のようなものもあります。日本の最大の癌である労働環境が改善されない限り日本人の幸せは無いと断言します。神奈川県の話です。

No title

>39時間労働
それはきついですね(-_-;)
長時間労働や夜勤などある程度は仕方ないにしても、極力不規則な勤務がないよう配慮を期待したいですね。
お互い体を壊さないようがんばりましょう。

レッドフィールド◯◯ポレーションと言う新しい警備会社にいましたが 研修途中で現場に出され 給料を誤魔化され 管制のミスで間違えて派遣された後にも補償無く 孫請けばかりなので辞めました
今でも求人を出しているようですが 制服のかっこよさだけで騙されないか心配です

あほ

そんな会社で働く方が悪い。変な使命感は捨てて休みを取るか、早目に医師の診察を仰ぐのが生き残れる唯一の道。
仮に現場で死んでも請負先から迷惑がられるだけ。
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