施設警備員が死亡した暴行事案について

 昨年の平成25年9月13日、

 京都市の大学構内において、

 施設警備に従事する男性警備員が暴行による死亡する時案がありました。

 この事故の再発防止を考えたとき、

 如何なる対応が適切だったのでしょう・・・
 事案の概要について、

 全警協の労災事故速報を通じてご存じの方も多いでしょう。

 その内容から衝撃を受けた方も多いのではないかと思います。

 施設警備において、

 不審者(不審と思われるすべての者)への対処については、

 警備する施設の特性。

 警戒レベル。発生時間帯。

 様々な要素を含め、

 警備員はその判断の中で最適と思える対処を行います。

 本件の事案でも、

 おそらく同様であったことでしょう。


 暴行に至った経緯について、

 被疑者は、「警備員に敷地内から出るように言われ腹が立った。」と供述したそうです。


 窃盗等の具体的な目的がない相手に対し、

 これを全て不審者であることを前提に、

 万全の対処を行うことは、

 警備本来の目的からすばらしい対処方法です。

 しかし、

 実際には悪意のない相手に対して、

 高圧的にうつることが多く、

 その対応が似つかわしくない場合も往々にあります。

 また、

 配属警備員が少ないため、

 複数人で連携等をとれない場合も多くあります。

 暴行に至った経緯について定かではありませんが、

 対応時の言葉遣いを含め、

 態度によりトラブルを誘発することは警備現場では多くあります。

 しかしながら、

 業務の性質上避けることが出来ないケースも多く、

 本件でも似たような状況ではなかったのか?と感じてなりません。


 その中で警備員の受傷事故を避ける場合、

 基本的な危険回避のための行動(複数対応、間合い、言葉遣い等)にあわせ、

 予想できない事案に対処すべき、

 護身のための在り方について、

 今一度考える必要を感じてなりません。


 現場の警備体制をを含め、

 どような手段が必要であるか?

 また、

 特に1名体制や巡回等で単独行動が多い警備現場において、

 緊急時の相互連絡手段の見直し。

 携帯型の非常押し等による通報設備等の必要について、

 警備という業務を本業として行う業種ならでは体制を確立することが求められるのかもしれません。


 従来の定時連絡といった手段は、

 発見までに時間がかかることから、

 定時連絡のみではすでに時代にそわない方法となったかもしれないと思慮すべきかもしれません。


 取り組みでは、

 設備等の導入は安易に設けることは難しいですが、

 最も基本的な装備品であり、

 かつ、効果が期待できる。

 異常発生時おける「警笛」の役割と使用についてを見直し、

 この見直しを通じて、

 警備員自身の護身に関する日頃の姿勢を意識させる。

 ということに必要性を感じます。

 警笛をとっさに取り出し、強く吹鳴する。

 とても簡単な動作です。

 しかし、現職の警備員にさせてみると、

 訓練をしていなければ、

 一部の交通誘導警備員を除き、

 施設警備員の多くは、瞬時に実施することができません。

 実際、施設警備では吹鳴する機会は非常に少ないです。

 だからこそ訓練とその使用を想定した心構えについて、

 今一度確認し、常に危険に対する意識付けが必要なのではないか?と感じます。


 本記事は、私自身が未だ再発防止に向けた答えが見つからないなかにあり、取り留めもない内容となりました。
 全警協の重大労災事故速報の内容にあわせ、同様に再発防止に悩む同志の参考となれば幸いです。

 末筆ながら、亡くなった警備員のご冥福を心よりお祈り致します。

以下、参考資料
 セキュリティタイム2014年1月号での教訓事項として紹介している方法は次のとおり。

 1 不特定多数が出入りする場所は規則を知らずに侵入されることもあるので退去を告げる場合は丁寧に説明する。

 2 不審者から直接危害を加えられないよう必要な間合いをとるようにする。

 3 不審者にはできる限り複数人で対応する。


・事案の概要
 発生日時
 ・平成25年9月13日 06時10頃

 当事者 
 ・被災警備員 男性58歳 経験4年1ヶ月
 ・被疑者   男性22歳 
 ・発見者   女性62歳 清掃員

 主な内容
 大学構内に侵入した男性を清掃員が発見。
 清掃員は警備員室の警備員に連絡した。
 清掃員が現場に戻ったところ、警備員が倒れ、一方的な暴行を受けており、2時間後に搬送先の病院で死亡した。

・重大労災事故速報
 平成25年11月15日 一般社団法人 全国警備業協会 発
 「重大労災事故速報(№7)」


・事案に関する報道記事(外部リンク)
警備資料>「注意され立腹、容疑の男供述 華頂大暴行死」
http://takayawander.at.webry.info/201309/article_75.html


この他の警備員の重大労災事故については、
警備員の道 > 警備業 > 警備会社の安全衛生
> 警備員の死亡労災事故(重大事故)事例
https://keibiin.net/keibianrou.html
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コメント

そんなことは土台無理な話

警笛吹いたら容疑者が逃げるとは限らない。
警備員が敷地内の侵入者に対してまずはどのような行動を取ったのか。通常警棒など身を守る物を携行し、現場確認する。容疑者が誤って敷地内に入り、警備員が高圧的に出て行けと言われて激昂したのかも知れない。容姿等から判断して明らかに窃盗目的ならまず110番通報すべきだが、通報するタイミングが難しいのも事実。私ならここは私有地ですので速やかに退去して下さいと告げる、その際に不審者が逃げたり、襲って来たりすれば110番通報。襲って来れば警棒等で応戦するしかない。不審者の背格好や人相、逃走方向を確認し駆けつけた警察官に説明する。
相手が凶器などを所持していれば警備室等で二人きりになるのは危険が伴う。
契約や予算上のことから夜間、一人体制で施設警備を行っている現場も多いが、他に突然死などそれなりのリスクも伴うことを警備会社も請負先も認識してはいるものの、大手はともかく中小零細警備会社は生き残るだけに追われ、対策は後手に回っているのが現状。触らぬ神に祟りなしでいった方が少なくとも死ぬことはなかったであろう、警備員として変な使命感は捨てた方が身の為。
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