申立内容では、
男性警備員は3交代の8時間勤務に従事。
始業前2時間集合、解散は始業後1.5時間。合計で3.5時間以上の拘束されていながら一切の残業代がなかったと主張。
テイケイ株式会社は争う構えを示している。
一方の申立内容のみの主張を見るだけでは、真実は判りません。
しかし、これまで警備業を見てきた管理人の所感としては、
勤務時間前に安易に集合等の指示を行い、給与の対象となる労働時間以上の勤務員の拘束時間が長いという行為が業界内に横行していることが感じられます。
例えば1号警備(施設警備業務)
・警備先の職員等の出入り前に解錠させるため、就業時間より早く出社させる。
・施設の出入口などの清掃(除雪)を就業前や就業後に慣例として実施させる。
例えば2号警備(交通誘導警備業務)
・警備先の就業時間より早い時間に警備員の集合場所を定め、乗り合わせにより現地に向かわせる。
・朝礼、保安資材の設置と撤去を就業時間前や後に慣例とて参加、実施させる。
例えば3号警備(現金輸送警備)
・貴重品等を積載された周辺警戒状態での車両待機時間を休憩時間とする。
・運搬後の給油。洗車。貨物運送事業に伴う書類作成業務を就業時間に含まない。
例えば機械警備
・警備車両への現地での乗換(鍵等の物資受け渡し)以降を就業時間として乗換前や帰社までを含まない。
・休憩や仮眠時間でも出動待機を兼ねている。
どの行為も業務指示によるもの。及び業務に付帯する警備員の拘束であり、明らかな勤務時間となるもの。労働時間かの判断がグレーとなるものです。
業務に関する古い慣習の中には、勤務前に個々で準備を促すものがあります。
しかし、これはあくまで常識として労使双方が問題と感じない範囲に限られ、決して拡大解釈をできるものではありません。
まして働き方改革をはじめ世情は既に大きく変わり、就業時間に関する労働者の意識も大きく変わっています。
警備業における管理者側の意識改革の遅れは、人材確保という観点から警備業が他業種に大きな遅れとなる原因ともなります。
本件の労働審判の申し立て内容に関する判断は、警備業界における就業時間に関する意識を見る一つの指標として注目されます。
・・・2019年11月25日 追記・・・
2019年7月2日、労働審判は未払い賃金はないと判断を示し、元警備員とテイケイ株式会社の双方が意義を申し立てず確定しました。
通常、労基法を始めとする労働法は立場の弱い労働者にとって有利に働くため、労働審判の申し立てに対して未払い賃金がないと判断されることは異例。
申し立てた内容自体に大きな誤りがあったか、一方的な思い込み等により大きな誤解があったのかも知れません。
本件の裁定に至った詳細が判らないため大きな違和感と感じるところですが、この裁定が警備業界内にある不必要な時間拘束等の行為等の是正・改善に対して、悪影響を及ぼさないかが心配されます。
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コメント
講師として基本教育、業務別教育のできる立場
さて、お聞きしたいことがあります。
1級警備員、取得後1年以上の2級警備員
は、その警備会社の指教責が十分な能力を
有する認めれば現任教育において講師
として当該区分の教育ができると聞いた記憶がありますがまちがいないでしょうか?
ご教示お願い致します。
2019/03/10 06:38 by 2号雑1交2 URL 編集
Re: 講師として基本教育、業務別教育のできる立場
ご質問の件ですが、
> 1級警備員、取得後1年以上の2級警備員は、その警備会社の指教責が十分な能力を有する認めれば現任教育において講師として当該区分の教育ができる
概ね正解です。
補足を入れるとすると、基本教育も実施できます。
また、実際に教育を行うためには自社の警備員教育計画書の実施者に明記しておく必要があります。
教育者の詳しい要件についてはホームページ内に紹介しています。
ホームページ内 >警備員教育内容 > 警備員の講師を目指す
https://keibiin.net/kousi.html
2019/03/11 22:55 by とある警備員指導教育責任者 URL 編集
管理人のみ閲覧できます
2019/11/22 11:22 by 編集