2020/06/23
・落水実験
調査報告書における落水実験において、ライフジャケットを着用した被験者が、遊具から落水し、その後、水面に浮上することなく同遊具下に潜り込む可能性を調査。
① 立った状態から身体をひねるような体勢で頭から落ちる場合。
② ひざまずいた状態から水中を覗き込むような体勢で頭から落ちる場合
③ 直立体勢で足先から落ち、水中で腕を1回かいた場合。
の3ケースで遊具下へ潜り込む事実及び再現性があることを確認。
・浮力抵抗実験
ライフジャケットを着用した被験者の背面が遊具底面に接した状態と、ライフジャケットを着用し遊具と離れた水中に浮遊させた被験者をロープで引っ張り、その際の引張り力を測定。
①ライフジャケットを着用した被験者の背面が遊具底面に接した状態 約200N(約20.4kgf)
②ライフジャケットを着用し遊具と離れた水中に浮遊させた被験者 約10N(約1.0 kgf)
・遊具揺動による影響確認実験
遊具上の遊戯者により遊具が水面上で揺れ動く状況を模擬し、ライフジャケットを着用して遊具下に配置した被験者に対して生じる影響を調査。
①遊具の揺動に同期して、被験者も上下に動かされる事実を確認。遊具の下に潜り込んだ状態から同遊具外に抜け出すことを、より困難にすると推定された。
結論
ライフジャケットを着用した状態で遊具から落水すると、遊具の下に潜り込むことがある事実が確認された。
その場合、ライフジャケットの浮力が障害となり、同遊具外に自ら泳いで抜け出すことが困難となる事実も確認された。
この他、報告書では安全基準が特に定められていない。管理監督する所管省庁も定まっていないことなどが指摘され、再発防止対策についても提言が行われました。
本年は新型コロナウイルス感染症による影響により、夏季プールの運営は全国的に縮小傾向にあります。しかし、例年大型のフロートや水上設置遊具は全国で多く利用されています。
2012年には小学校プールにおいてフロート(大型のビート版)により溺れたと推認された死亡事故も発生していることから、利用している・利用予定にあるプール施設においては、調査報告書の内容を十分に理解し、必要な安全対策を講じることが求められます。
より詳しく内容については、事故等原因調査報告書をご確認下さい。
外部リンク:消費者庁 > 政策 > 審議会・研究会 > 消費者安全調査委員会 > 報告書/経過報告/評価書 > 水上設置遊具による溺水事故
・消費者安全法第23条第1項の規定に基づく事故等原因調査報告書-水上設置遊具による溺水事故―
概要 [PDF:1.4MB](令和2年6月19日)
当該事故を含めた2019年の主なプール事故は、
プール監視員の道 > プール監視の事故と歴史 > 水難事故の発生件数
> 2019年(令和元年)プール事故事例の一覧
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